許可の取得後には守るべき事項があります
古物商が許可制を取っている理由は、売買の対象となる品物に、盗品や横領品等の犯罪によって取得されたものが混入してしまう危険があるためです。
犯罪と古物商とのかかわりあいを防止するために、古物営業法または犯罪収益移転防止法では遵守事項が定められているので、開業後は守らなければなりません。
課せられた義務 | 古物営業法 | 犯罪収益移転防止法 |
---|---|---|
本人確認(買受時-売却時) | ○-× (1万円以上の取引) |
○-○ (200万円を超える現金取引) |
本人確認記録、取引記録作成・保存 | ○ (1万円以上の取引) |
○ (200万円を超える現金取引) |
疑わしい取引の届出義務(買受時-売却時) | ○-× | ○-○ |
3大義務以外にも留意すべき事項
許可証の携帯と提示(古物営業法第11条)
行商やせり売りをする場合には、「許可証」を携帯し、従業員には「行商従業者証」を携帯させ、取引相手から提示を求められたら提示をしなければなりません。
標識の掲示(古物営業法第12条)
事業所ごとに、公衆の見やすい場所に標識を掲示しなければなりません。
また、ホームページがある場合は、取り扱う古物に関する事項と共に、①個人の場合は氏名、法人の場合は名称、②許可をした公安委員会の名称と許可証の番号を掲載しなければなりません。
管理者の選任(古物営業法第13条)
営業所ごとに管理者を1人ずつ選任し、取り扱う古物が不正品であるかどうかを判断するために必要なものとして、古物営業法施行規則第14条で定める知識、技術または経験を得させるように努めなければなりません(努力規定)。
行商と営業の制限(古物営業法第14条)
露天、催し物場への出店等、自身の営業所以外の場所で古物営業を行う場合を「行商」と言います。
「古物市場に出入りして取引を行う」、「取引の相手方の住居に赴いて取引する」、「デパート等の催事場に出店する」場合等は、許可内容が「行商をする」となっていることが必要です。
「行商する」になっていても、古物を買い受ける場合は、場所に制限があります。
古物商以外の一般人(法人も含む)から、古物を「買い受ける」、「交換する」、「売買の委託を受ける」ことは「自身の営業所」、または「相手方の住所等」でなければできません。
出店先での買い取り等は、その契約行為の一部も含めて違反行為となります。
品触れ(古物営業法第19条)
品触れとは、盗品や遺失物等の被害者の迅速な発見のため、質屋、古物商などに被害品の特徴を示すことです。古物商が警察から盗品のリストを受け取ったときは、到達の日付を記載し、その日から6ヶ月間そのリストを保存しなければなりません。
もし、リストに該当する盗品を所持していた、または、受け取った場合には、直ちに警察に届け出なければなりません。
返還義務(古物営業法第20条)
古物商が、公の市場または同種の物を取り扱う営業者から、盗品・遺失物とは知らずに盗品・遺失物を古物として譲り受けることがあります。
この場合、盗難・遺失の時から1年以内に被害者・遺失主から返還請求をされた時には、古物商はその品物を無償で返還しなければなりません。
変更届出書・許可書の書換申請書の提出が必要になる場合
古物商の氏名、住所や居所、法人の代表者は許可証記載事項なので変更があった場合には、変更届出だけでなく、書換申請も必要になります。
一方、営業所の名称や所在地は許可証には記載されないので、それらの事項に変更があったとしても変更届出のみ行うことになります。